日本でも最近、認知されるようになってきた、いわゆる「フランス婚」
「結婚」とはまた違う社会のシステムがあります。実際に生活にどんな影響があるの?子供ができたらどうなるの?なぜ出生率は高いの?
ということについて解説していきます。
フランスの恋愛観
フランス人の恋愛観について、みなさんはどんなイメージがありますか?
一言でフランス人の恋愛観をまとめるとすると「自由」「個人主義」
だと思われます。
フランスの歴代大統領の恋愛をみてみましょう。
ミッテラン大統領は、愛人がいるということで有名でした。
フランス人は、「仕事さえキチンとしていれば、恋愛は個人の自由だ」という考え方が一般的です。
「人の恋愛にとやかく口をだすほど野暮なことはない」という言葉は何度かフランス人友人からも聞いたことがあります。
サルコジ大統領は、現職の時は有名な女優さんの奥さんでした。
3度の結婚と、略奪愛というプライベートは波乱に満ちていました。
記憶に新しいオランド大統領ですが、はじめての「事実婚」でのファーストレディーとなりました。これもフランスの社会を表していますね。
さらに、「事実婚」で子供がいたにもかかわらず、「不倫」でした。
マクロン大統領は、「歳の差婚」です。
15才の高校の時の国語の先生が、今の奥さんブリジットです。
その時に、ブリジットの娘が同じクラスのクラスメートでした。
さらに、ブリジットはその時、別の人と結婚していました。
これまた波乱に満ちたストーリーですね。
フランスの結婚率
フランスでは「結婚」という形を取らないシステムが存在します。
日本の結婚率は、5.0%に対し、
フランスの結婚率は、3.6%
さらに
日本での離婚率:1.7%に対し
フランスでの離婚率:1.9%
この数字は、そもそもフランスでは「結婚」自体をしていない人が多い為、「離婚」という数字が低く出ているようです。
結婚とは違うシステムパックス(PACS)
よく言われれる「事実婚」「フランス婚」ですが、
実は正式には、パックス(PACS)と呼ばれるものです。
訳すと、「民事連帯契約」です。
1999年にフランスの民法改正により認められることになった。「同性または異性の成人2人による、共同生活を結ぶ為に締結される契約」
となっています。
初めは、同性の方の為にできた法律でしたが、その後、正式に「同性結婚」が認められるようになったため、
今では「異性」結婚のほうが、パックスを利用している数が多いというデータが出ています。
なぜフランスは出生率が高いのか?
フランスは先進国の中では高い出生率を誇ります。なぜ出生率が高いのでしょうか?
まず、世界の出生率ランキングをみてみましょう。
軒並み上位は、発展途上国がならびました。
先進国では、やはりトップは、フランス、オーストラリア、アメリカなどが続きます。
日本は、202国中、183位という結果に。
では、どうしてフランスは出生率が高いのでしょうか?
これには、「安心して産んで育てられる」社会が大きく関わっています。
1、全額保険カバーでの出産(無料)
2、医療が無料
これは子供に限らず、大人も全員が無料です。
3、教育が無料
日本だと子供が生まれるとまず、教育のお金をどう工面しようかと考えるのが普通ですが、全て教育は無料です。給食代は払いますが、これも保護者のお給料によっては、安くなったり無料になります。
4、大学が無料
大学が無料なのは、本当に助かりますね。金銭的な理由で学業を諦めることがないのは素晴らしいです。
5、保育園、ヌヌーの存在
フルタイムで仕事をしているママだと1番の大問題は、「保育園にはいれるか」問題。
かつてはフランスでも保育園に入りにくいと言う問題があったようですが、
ヌヌーという制度ができました。これは、既に子育てが終わった方や、時間のある方が「自宅で」赤ちゃんを預かってくれる、というシステム。
ヌヌーによって、女性の社会復帰が楽になりました。
6、70%の男性が「産休」をとる
これには驚きました。男性の70%が産休を取るということは、職場でも「取るのが当たり前」という空気がありそうです。
7、家族手当がある
子供2人(120ユーロ/月)=2021年3月20日時点のレートで、15,480円
子供3人(280ユーロ/月)=2021年3月20日時点のレートで、36,120円
すでに、子育てに関する色々が無料である上に手当がこれだけあります。
また手当には、「所得制限」がありません。これはあくまでも、「子供に」支払われるものであって、「親の年収」は関係ないという考え方です。
8、婚外子出生率が60%
先ほど出てきたパックスによる、「結婚していない」カップルの子供の方が、「結婚している」カップルの子供を上回っています。
それほど、子供ができた=結婚しないといけない
という構図がない社会なのですね。
9、女性が仕事を続けられる環境(社会)
先ほどでてきたヌヌーの存在あり、パートナーも産休を取って一緒に育児をしてくれるという環境もあり、社会への復帰がしやすい、という環境があります。
「子供が欲しいけど今の仕事を続けたいから迷っている」ということはないのですね。
子育てについて
子供関連の、公的支援(先程の手当など)や学校への書類など、親が結婚しているかどうかは関係なく、子供には全ての権利が同等に与えられています。
親権は、「共同親権」(日本は共同親権がなく、片方の親に決めないといけません)
もし離婚して(お別れして)も、親の責任は続きます。
「養育費」の支払いが滞ると、裁判所命令で「給与差し押さえ」することができます。
離婚した場合
離婚した(お別れした)場合の手順ですが、フランスでは必ず裁判が必要になります。
この際に財産分与などが、まだ決まっていなくて揉めていたとしても、
子供の身の振り方(どちらとどれくらい住むか、養育費はいくらか)をまずすぐに決めることになります。
フランスでよくみられるのは、1週間ママの家ですごし、次の1週間はパパの家ですごす、という子供がいます。どちらの家にも自分の部屋がある、という感じです。
またフランスのバカンスは2週間ありますが、きっちり1週間ずつ分けて、パパとママと過ごすのが普通です。
一度バカンスを10日間にしようという話がありましたが、「離婚した子供のアレンジがややこしすぎる!」という大反対にあい、この案は没になりました(笑)
まとめ
日本だとちょっと信じられないような価値観かもしれませんが、
(どちらが良い、悪いというのはありません)
どうして出生率が高いのか、という答えが少し見えた気がします。
また離婚したもの同士で、再婚(もしくはパックス)で連れ子と一緒にクラスとうパッチワークファミリーもよくフランスでは見受けられます。
子供がいるからといって、自分の幸せも諦めたくない、
パートナーとは上手くいかくなれば、一緒にいないのが普通
その決断を、周りもジャッジしたり、批判したりせずに、ありのままを受け入れる。
色々な家族の形があり、色々な考え方があり、色々な人がいる、それを許容する社会なんだと強く感じました。
多様性と自由の意味について考えさせられました。
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